音声・嚥下外来、頭頸部腫瘍外来、難聴・中耳外来、鼻副鼻腔外来等の専門外来を備え様々な疾患に対応できる体制を整えています。
診療内容と特色
耳鼻咽喉科・頭頸部外科疾患全般を対象とし、高度な技術と患者さんへの思いやりに支えられた、質の高い医療を提供します。耳、鼻、喉頭、頭頸部腫瘍のそれぞれの分野に対応した専門外来を設けており、当該領域のプロフェッショナルが患者さんのニーズに高いレベルで応えます。特に喉頭疾患に対する手術治療は、国内屈指の実績を誇ります。また、京都府下一円から近隣の他府県まで多数の関係病院と連携診療所があり、病診連携にも力を入れています。
診療体制
耳科診療(中耳外来、難聴めまい外来、人工内耳外来、補聴器外来、小児聴覚外来、平衡機能検査)
中耳疾患のほか、感音難聴、顔面神経麻痺、めまい疾患に対する診療を行っており、手術では慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎中耳に対する中耳手術のほか、骨固定型補聴器(BAHAシステム)の留置、高度難聴・先天性聾の患者に対し人工内耳手術を行っています。小児難聴については当科が京都府内の難聴児の診療を担っており、聾学校や児童福祉センターなどと協力の上、早期の補聴器装用による言語獲得につとめるなど診療にあたっております。とくに遺伝性の疑われる難聴児へは遺伝子診断を行い、早期に人工内耳の植え込みをすすめます。めまい疾患に対しては外来診療および平衡機能検査(電気眼振図、カロリックテスト、vHIT)を行い成果な診断と治療に努めております。
鼻科診療(アレルギーユニット、鼻・副鼻腔外来)
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの炎症性疾患と鼻副鼻腔乳頭腫や上顎洞癌などの腫瘍性疾患を主な対象として行っています。アレルギー性鼻炎には粘膜下下鼻甲介骨切除術や後鼻神経切除術などの外科的治療に加え、根治性の期待できる舌下免疫療法や近年スギ花粉症にも適応されたオマリズマブを使用した分子標的治療も積極的に行っています。副鼻腔炎についてはナビゲーションシステムや内視鏡洗浄装置などを駆使し安全かつ正確な内視鏡手術を心掛けています。また好酸球性副鼻腔炎などの難治例に対しては手術に加えて分子標的治療薬のデュピルマブを積極的に導入しております。腫瘍性疾患については外科的切除以外に近年では放射線科と連携し全身化学療法や動注化学療法を併用した陽子線治療を行い機能温存も重視した根治治療を目指しております。さらに頭蓋底にまで拡がった腫瘍性病変に対しては脳神経外科とも協力し頭蓋底手術を行っています。
喉頭科診療(音声外来、嚥下外来)
喉頭の機能は発声・嚥下・呼吸に分けられ、その障害はQOLの大幅な低下や生命の危機に直結します。
(1)音声障害:声帯ポリープなどに対し、マイクロフラップ法による喉頭微細手術を導入しており、歌手などのprofessional voice userに対する治療経験も豊富です。一側性声帯麻痺に対する喉頭形成術や痙攣性発声障害に対するボトックス®注入も積極的に行っています。音声治療を組み合わせて治療効果を最大限に高めています。現在、声帯瘢痕に対するHGF(肝細胞増殖因子)投与の第Ⅲ相臨床試験を実施中です。
(2)嚥下障害:嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査により、正確な診断に努め、病態に応じてリハビリ指導ならびに嚥下機能改善術や誤嚥防止術などの外科的治療を行っています。頸部干渉波電流刺激によるリハビリも行っています。
(3)喉頭癌:局所進行癌に対して、機能温存手術や導入化学療法を駆使して、極力喉頭機能の温存を目指した治療を行っています。
頭頸部癌診療(腫瘍外来、腫瘍新患)
当科の頭頸部診療では、気道・摂食・嚥下機能や発声、味覚、聴覚などQOLに直結する重要な機能が集中する頭頸部癌に対して、根治性のみならず、できるだけ機能温存とQOLとのバランスを保った治療を進めています。毒性の少ない導入化学療法レジメンであるPCE療法を先駆けて導入し、導入化学療法への治療効果に基づいて機能温存手術や化学放射線治療・陽子線治療による臓器温存に取り組んでいます。また、後述する頭頸部アルミノックス治療は、世界ではじめて日本で承認され、当科では積極的に採用し、2023年中には本邦で最多症例を記録し、再発頭頸部癌への光免疫療法を行っています。急速に進んできた甲状腺癌におけるゲノム医療も推進し、RET融合遺伝子やBRAF V600E変異の解析に基づいた治療選択を進めてきました。さらに、頭頸部扁平上皮癌への薬物療法においては基礎研究を進め、癌組織中の免疫細胞を網羅的に解析し、学内外の14部門との共同研究を展開し、治療選択の最適化につながるバイオマーカー研究に取り組んでいます。
最新医療:頭頸部アルミノックス治療(光免疫治療)
頭頸部癌における局所再発は手術、化学放射線治療後に生じることが多く、根治的な局所治療の手段が限られることが課題となっています。そこで、当科では切除不能な局所再発の頭頸部がんに対して、2021年1月から世界に先駆けて日本で初めて保険適用となった頭頸部アルミノックス治療を行っています。頭頸部アルミノックス治療とは、頭頸部がん細胞で過剰発現している上皮成長因子受容体に特異的に結合する抗体医薬に690nmの赤色光により構造変化を生じる光感受性物質を結合させた薬剤を投与した後、腫瘍にレーザー光を当てることで、がん細胞を破壊する「光免疫療法」のことです。 治療は2日間で完了し、1日目に薬剤を点滴で投与し、2日目に全身麻酔下にレーザー光を照射します。 治療後4週間程度は強い日光への暴露を避ける必要がありますが、1週間程度の入院後には日常生活に戻ることができます。副作用としては、治療適用部位疼痛、浮腫、光線過敏症などがありますが、多くが一過性に消失します。世界では日本のみで実臨床で実施され、これまでに本邦で700回以上、当科では2024年は国内最多の治療実績があります。当科には頭頸部アルミノックス治療専門医・指導医が複数在籍し、従来には対応が難しかった局所再発腫瘍への治療を行っています。
![](https://kpument.com/wp-content/uploads/2024/12/アルミノックス.jpg)
年間の治療実績(令和4年度)
年間手術件数:約600件
年間外来患者数:約2000名
外来診療担当表
月曜 | 火曜 | 水曜 | 木曜 | 金曜 | ||
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午前 | 新患 | 平野 | 辻川 | 布施 | 瀧 | 永尾 |
椋代 | 担当医 | 岡本 | 中村 | 佐分利 | ||
再診 | 担当医 | 担当医 | 担当医 | |||
担当医 | 担当医 | 担当医 | ||||
専門外来 | アレルギーユニット | 中耳外来 | 難聴めまい外来 | 腫瘍外来 | 腫瘍新患 | |
岡本 | 瀧 | 瀧 | 辻川 | 平野 | ||
中村 | 中村 | 永尾 | ||||
佐分利 | ||||||
アレルギーユニット | ||||||
岡本 | ||||||
午後 | 専門外来 | 音声外来 | 嚥下外来 | 人工内耳外来 | 鼻・副鼻腔外来 | 補聴器外来(隔週) |
平野 | 椋代 | 中村 | 岡本 | 中村 | ||
椋代 | 布施 | 担当医 | 担当医 | |||
布施 | ||||||
担当医 | ||||||
小児聴覚外来 | ||||||
兵庫 | ||||||
担当医 | ||||||
平衡機能検査 | ||||||
瀧 |
※休診となる場合もございますので、事前にお問い合わせください。
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京都府立医科大学附属病院 耳鼻咽喉科
〒602-8566 京都市上京区河原町通広小路上る梶井町465
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